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「合縁-another story-」



白い湯気が立ち上る。
二人分のマグカップには、紅茶が注がれていた。
冬でもないのに、ここはよく冷える。
家具が少なく、殺風景な部屋である。
その部屋のベッドに、フェリクスとトーリスは座っていた。

「…そんなに怒んないでよ」

トーリスは先ほどからフェリクスをなだめすかしているものの、全く取り付く島がない。

「怒るし」
「二人とも生きてたんだから、いいんじゃないかな」
「良くねーし。トーリス怪我したし」

マグカップに口を寄せながら、フェリクスは呟く。

「次は、大丈夫…」
「次とか、もうないかもしんないじゃん」

カン、と音を立てて、マグカップが乱暴にサイドテーブルに置かれる。
中身がこぼれそうになるが、なんとか持ちこたえたようだ。

「…そうだけど」
「もう庇ったりすんなし」
「できないよ」
「…なんで」

やっと二人の視線が交わる。

「庇わなかったら、フェリクスが死んでた」
「なっ…」
フェリクスは口を挟もうとするが、トーリスは続ける。
「それは、嫌だから。…それに、きっと後悔すると思うし、ね」

そのアクのない笑顔に、フェリクスは押し黙る。
しばらくして、ぽつりと呟いた。

「…俺も嫌だし。トーリスが死ぬとか、まじありえんし」
「…そっか」
「トーリス、ありがと」

フェリクスはそう言って、僅かに微笑んだ。
"毎日"は、確かに続いていく。
どんなに脆くとも、儚くとも。

フェリクス可愛いな(^q^)
書いてて自分で萌えるとか…乙!